最も一般的な「普通方式遺言」について知ろう
「遺言書の正しい書き方を知らなかったばかりに法的に無効になってしまった」など、遺言書や相続をめぐるトラブルは後を絶ちません。でも気づいたときにはもう取り返しがつかないのが遺言書の問題の特徴です。
遺言書は民法で厳密に定められているのものですので、正しい知識が必須となります。今回はほとんどの遺言書に該当する「普通方式遺言書」について説明します。
普通方式の遺言書とは?
遺言書は大きく分けると「普通方式」と「特別方式※」の二つに大別されますが、特別方式は特殊な状況下のみで使われるものなので、一般的には「遺言書=普通方式」と考えて頂いて良いと思います。
なお、遺言書の種類は以下となります。
普通方式遺言書
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
特別方式遺言書
- 一般危急時遺言
- 難船危急時遺言
- 一般隔絶地遺言
- 船舶隔絶地遺言
※特別方式遺言書は、死亡を予測させる危機的状況に遭った時など、ゆっくりと遺言書を作成できない場合で作成される特別な遺言書を指します。
普通方式の遺言書、メリット・デメリット
遺言者が自分の手で作成するもので、一般に「遺言書」という言葉でイメージされるのが「自筆証書遺言」です。
メリット
- 自由に書くことができるので、自分の思いを込めやすい
- (ただしどのような内容でも死後に可能になるわけではありません)
- 証人がいらない(なので依頼費用もかからない)
- ペンと紙、印鑑があればできるので費用がかからない
- 遺言の存在とその内容を秘密にすることができる
デメリット
- 紛失したり偽造、改ざんの可能性がある
- 自分しか存在を知らないと相続人にみつけてもらえないことも…
- 日付や押印など、決まりごとを守らないと内容が全部無効になることがある
一番安心できるのが公正証書遺言
自筆証書遺言ではちょっと不安…という方は、公正証書として作成することになります。
正しい書式で遺言書を作成できるのでまず無効になることがない、また様々なアドバイスを受けることができるので、あとあとトラブルが発生しにくいといった特徴もあります。
メリット
- 法律のプロの意見のもとに作成するので、内容が無効になったりすることがまずない
- 偽造、改ざんの危険がない
- 本人の手元の他、公証人役場で保管されるので紛失しても謄本として発行できる
デメリット
- 証人が必要(なので証人依頼費用が発生する)
- 公証役場等の費用がかかる
- 遺言の存在はもちろん、内容も秘密にすることができない
内容だけ秘密にできる「秘密証書遺言」
「公証役場証書だと遺言の内容を知られてしまう…」遺言書の内容を誰にも知られたくない場合は、秘密証書遺言という方法があります。
メリット
- 「遺言書がある」ということは知られても内容を知られることはない
- パソコンのワープロソフトや代筆でも可能(ただし本人自筆が望ましい)
デメリット
- 証人が必要(なので証人依頼費用が発生する)
- 遺言書の内容を知られたくないあまりに存在すら秘密にすると、死後に発見されない場合がある
- 公証人役場で保管するわけではないので、偽造や改ざん、紛失のリスクは少なからずある
- 日付や押印など、決まりごとを守らないと内容が全部無効になることがある
じゃあ遺言書ってどれがいいの?
理想的には「ご自身で書いたものが死後に遺志として確保でき、相続人同士の争いごとも起こらない」方法だと思います。
ですが冒頭で記載したように「法律で厳密に定められて」いるものなので、ご自身で作成するにはある程度の知識がないと無効になることも少なくありません。
ですので、私たちは死後にご意志がきちんと受け継がれるように、正しい遺言書の書き方の指導もさせて頂いており、セミナー等も開催しています。
まだお元気なうちに、一度あなたの財産について考えてみてはいかでしょうか。
ちょっとしたご相談でもお受けしておりますので、ぜひご連絡下さいませ。